沖縄県内で創業を考えている方から、よく次のようなお問合せをいただきます。
「創業者向けに使える補助金はありませんか?」
「法人を設立する予定ですが、初期費用の支援制度はありますか?」
「ITやデジタルを活用した新しい事業を始めたいのですが、対象になる制度はありますか?」
創業時は、設備投資、店舗・事務所の準備、試作品開発、Webサイト制作、広告宣伝など、何かと資金が必要になります。
一方で、創業直後は売上が安定しにくく、自己資金や借入だけで事業を立ち上げることに不安を感じる方も少なくありません。
そのような中、沖縄県で「令和8年度 沖縄県スタートアップ起業支援金」の公募が開始されています。
この支援金は、沖縄県が地域課題の解決や新たな産業の創出を目的として、デジタル技術を活用して起業するスタートアップを支援する制度です。
補助率は2分の1、補助上限額は200万円です。(Startups Okinawa)
「沖縄県スタートアップ起業支援金」
沖縄県スタートアップ起業支援とは
この支援金は、単なる「創業資金の補助」ではありません。
対象となるのは、沖縄県が地域再生計画に定める社会的事業の分野において、デジタル技術を活用して起業する方です。制度の目的は、起業に必要な経費の一部を支援するとともに、経営面などの伴走支援を行い、沖縄県におけるスタートアップの創出、新たな成長産業の創出、社会課題の解決を促進することにあります。(Startups Okinawa)
つまり、単に「お店を開きたい」「会社を作りたい」というだけではなく、地域課題の解決、デジタル技術の活用、事業としての成長可能性が重要になります。
補助内容
主な補助内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 2分の1 |
| 補助上限額 | 200万円 |
| 補助対象期間 | 交付決定日から令和9年1月31日まで |
| 募集期間 | 令和8年4月27日(月)〜令和8年6月1日(月)17時必着 |
対象経費としては、人件費、店舗等借料、設備費、原材料費、借料、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、マーケティング調査費、広報費などが挙げられています。
ただし、人件費については、代表者や役員の人件費は対象外です。補助対象となるのは、補助事業に直接従事する従業員に対して支払う給与・賃金に限られます。(Startups Okinawa)
対象となる方の主な要件
応募を検討するうえで、まず確認したいのが対象者の要件です。
主な要件として、令和8年4月1日から交付対象事業の完了日である令和9年1月31日までに、株式会社または合同会社を設立し、その代表者となることが求められています。
また、沖縄県内に居住している、または事業完了日までに沖縄県内に居住する予定であること、設立法人の登記を沖縄県内で行うことも要件となっています。
注意点として、すでに個人事業として開業している方が、同一の事業で法人化する場合は対象外とされています。
ここは相談現場でも誤解が生じやすいポイントです。
どのような事業が対象になるのか
対象となる事業は、沖縄県が地域課題としている社会的事業の分野において、デジタル技術を活用したスタートアップの起業です。
社会的事業の分野としては、地域活性化、環境・エネルギー、観光・まちづくり、健康・医療、生活の利便性向上、社会福祉、教育、子育て支援、Society5.0関連業種などが例示されています。
また、本制度におけるスタートアップとは、革新的な技術やアイデアによる新たなビジネスモデルで市場を開拓し、急成長を目指す企業、または社会課題の解決を最大の目的とし、経済的持続性と社会的インパクトの両立を目指すソーシャル・スタートアップを指します。(Startups Okinawa)
そのため、申請書では「何を始めるか」だけでなく、次の点を明確にすることが重要です。
1つ目は、沖縄県内のどのような地域課題を解決するのか。
2つ目は、その課題に対して、なぜ今そのサービスが必要なのか。
3つ目は、補助金終了後も収益で自立できる事業なのか。
4つ目は、デジタル技術をどのように活用するのか。
この4点は、審査基準にも関係します。
一般的な創業でなこれらのポイントを満たすのは難しい印象はあります。
審査で見られるポイント
公募要領では、審査基準として、社会性、必要性、事業性、デジタル技術の活用が示されています。
社会性とは、地域が抱える課題の解決に資することです。必要性とは、その地域において課題解決につながるサービスの供給が十分ではなく、今後その必要性が認められることです。
事業性とは、提供するサービスの対価として得られる収益によって、自律的な事業継続が可能であることです。
デジタル技術の活用については、生産性向上、機会損失の解消、顧客利便性の向上につながることが求められています。
単に「良いアイデアです」「地域に役立ちます」だけでは弱い印象です。
誰の、どのような困りごとを解決するのか。
既存サービスではなぜ十分ではないのか。
どのように収益化するのか。
補助金がなくなった後も継続できるのか。
デジタル技術によって、従来のやり方と何が変わるのか。
このあたりを、できるだけ具体的に整理する必要があります。
対象経費で注意したいこと
対象経費は幅広く設定されていますが、何でも対象になるわけではありません。
例えば、設備費では、店舗・事務所の外装工事・内装工事、機械装置・工具・器具・備品の調達費用などが対象例として挙げられています。
一方で、パソコン、スマートフォン、プリンター、家具、家電、車両など、本補助事業以外での使用も想定される汎用性の高いものは対象外とされています。
申請した以外の事業で使えてしまいますし、転売という事態を避けたいためです。
また、外注費については、試供品の製造、システム開発、Webサイト制作などが対象例として示されていますが、販売用商品の製造・開発は対象外とされています。
補助金では、「採択されたら何でも使える」と考えると危険です。
交付決定前の契約・発注は原則として対象外となるため、申請前後の支出タイミングにも注意が必要です。
申請から採択までの流れ
審査は、第一次審査と第二次審査に分かれています。
第一次審査では、要件審査と書類審査が行われます。第一次審査を通過した方は、第二次審査としてプレゼンテーション審査を受ける流れです。第二次審査では、申請者によるプレゼンテーションと質疑応答が実施されます。
公募スケジュールでは、応募書類の提出期限が令和8年6月1日、第一次審査結果通知が6月5日、第二次審査が6月11日、第二次審査結果通知が6月12日、交付決定は6月下旬予定とされています。
提出書類は、紙とデータの両方で提出する必要があります。紙の書類は正本1部、副本1部が必要で、データはメール送信となっています。
申請を検討する方へのアドバイス
この支援金は、沖縄県で新たにスタートアップを立ち上げたい方にとって、非常に有効な制度です。
ただし、申請にあたっては、単に「創業資金が必要」という内容ではなく、地域課題、顧客ニーズ、デジタル活用、収益モデル、成長可能性を整理することが重要です。
特に、次のような方は早めに検討する価値があります。
沖縄県内で株式会社または合同会社の設立を予定している方。
地域課題の解決につながる新しい事業を考えている方。
デジタル技術を活用したサービスや仕組みを構想している方。
観光、福祉、教育、子育て、医療、環境、地域活性化などの分野で新規事業を立ち上げたい方。
単なる小規模創業ではなく、成長性や社会的インパクトのある事業を目指している方。
一方で、既に個人事業として同じ事業を開始している方が法人化するケースや、デジタル技術の活用が弱い事業、地域課題との関係が薄い事業は、対象にならない可能性があります。
まとめ
令和8年度沖縄県スタートアップ起業支援金は、沖縄県内で新たに法人を設立し、地域課題の解決につながるスタートアップを目指す方にとって、ぜひ確認しておきたい制度です。
補助率は2分の1、補助上限額は200万円。対象経費も、設備費、外注費、委託費、マーケティング調査費、広報費など幅広く設定されています。
ただし、申請では「地域課題の解決」「事業としての継続性」「デジタル技術の活用」「成長可能性」が問われます。アイデアだけでなく、事業計画として説得力を持たせることが重要です。
創業を検討している方は、まず公募要領を確認し、自分の事業が対象となるか、どの経費が活用できるか、早めに整理することをおすすめします。
募集期間は令和8年6月1日(月)17時必着です。締切直前では、事業計画書や資金計画書の作成が慌ただしくなります。申請を検討される方は、早めに準備を進めましょう。
創業者が使える補助金は少なく、これ以外は「小規模事業者持続化補助金」くらいです。
該当する事業者さんは是非「令和8年度 沖縄県スタートアップ起業支援金」にチャレンジしてください!!

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